菜々保side

「………」


車に乗ってから、誰も一言も話さない。


静かなエンジン音が車の中に響く。


窓の外の景色だけがクルクル変わっていく。


私はこれからどうなるんだろう…。


「…あの、お姉ちゃん達が心配するので早く帰してくださいね?」


私の隣に座っている男の人に話しかけた。


「それなら心配する必要はございません。由梨様・花音様は先にお着きで待っていますので」


お姉ちゃん達が…待っている?


由梨お姉ちゃんが、こんな怪しい人について行くわけがない。


花音お姉ちゃんだって、いざっていうときにはしっかりしてる。


どういうことなの?


もしかしたら、私と同じように強制的に連れて行かれたのかも…。