「ありがと〜!」


私はお姉ちゃんに抱きついた。


だって、私の体育の先生は学校で1番怖い先生なんだもん。


体操服忘れたなんて言ったら私はどうなるのか…。


「菜々保、どうしたの?そんなにはしゃぐなんて珍しい…」


「あ!」


私は我に返って体を勢いよく離した。


周りを見渡すと、案の定みんなから見られている。


それもそのはず。


だって、教室での私は一匹狼。


家でもあまり態度は変わらないけど…。


私が喜ぶ瞬間なんて誰も見たことがない…郁斗とお姉ちゃん以外は。


こんなに取り乱すなんて…。