「菜々、最近冷たくないか?昔は『郁斗くーん!』とか言ってたのにな〜」


昔を懐かしむようにしていう郁斗に「おじいちゃんみたい」って言ってやりたい。


「それは昔の話。私と話してる暇があるなら勉強したら?」


少し長く話しすぎたかな…?


周りの視線がきつくなってきた。


「ちぇ〜」


郁斗が私から遠ざかっていく。


これで安心。


私は一匹狼のままがいいの。


引き出しから本を取り出して読むけれど、なんだか今日は気分が乗らない。


内容が頭に入らない。


別のことをしようと本を片付けた時、廊下から花音お姉ちゃんの声がした。