私はこの1週間、郁斗がどれだけ頑張ってきたか知ってる。


瀬川に勝つために、私とのデートの約束を果たすために。


いつも一生懸命にやっている練習を、さらに頑張って、死に物狂いで…。


「郁斗ーー!頑張れー!」


気づけば私は大声を出していた。


応援したくなった。


学校のみんなが見ていても、冷酷な私を失ってでも応援したかった。


郁斗にも私の声は届いたみたいで、私をチラッと見ると笑ってくれた。


その笑顔を見ると、なんだか安心できた。


そして、次の審判の合図で決着がつく気がした。