「貸して、黒木さん。私が付けてあげる。全国1位の私が付けるんだからご利益ありそうでしょ?」


嫌味っぽく言って手を差し出した。


「そうだね!じゃあお願いしま〜す」


私に赤いたすきを手渡すと、背中を向けた。


紐に引っ掛けてたすきを付けていると、黒木が舌打ちをして文句を言ってきた。


「マジありえないんだけど。あんたより私の方が郁斗君にはふさわしいっての」


私は聞こえていないふりをしてたすきを付け終えた。


「できた」


「ありがとう!これで優勝間違いなしだね!」


「そうだよね。優勝しないと郁斗とは釣り合わないしね。1回戦の相手、前回優勝者の香野さんでしょ?せいぜい頑張って」


それだけ言って私は郁斗の隣に行き、一緒に瀬川の試合を見た。


私、どうしてこんなにイライラしてるんだろう…。