私は郁斗の目の前まで行く。


「帰ろ」


「ああ」


返事はしたものの、早乙女のことが気になるみたい。


心配そうな顔を向けた。


「早くしてよね」


私は先に教室を出て、下駄箱で待っていることにした。


だって、きっと郁斗は早乙女に声をかけに行くから。


昔からそうなんだよね。


ちょっと落ち込んだり、悲しいことがあった人には必ず話しかけて励ます。


私は別に、郁斗と早乙女が仲良くなろうと関係ないし、所詮ワケありカップル。


他の女子とあまり話して欲しくないとか、そんな束縛はするつもりない。


私も自由にさせてもらうけどね。