鈴木は恥ずかしさのあまり真っ赤になって怒り始めた。今でも多恵に好意を抱いている事がミエミエで、見ているこっちが恥ずかしくなってくる。もう、なんなのよ!この男はっ!なにしてんのよ。私はっ!

「関係なくないっ。」
 自分でも何をしたのか、よく解らない間に、私は鈴木の唇に自分の唇を重ねていた。

 鈴木の唇の熱が私の唇へ伝わって来る。ぽってりと柔らかい鈴木の唇。鈴木の鼻息。鈴木の匂い。汗で湿った髪。熱い肌の感触。あぁ、キスってこんな感触なんだ。鈴木の身体って、やっぱり大きい。って、何やってんのよ。私!

「きゃーっ。」「うわーっ。」あちこちで悲鳴が上がるのが遠く聞こえた。

 我に返った私は、鈴木から離れた。鈴木は茫然と私を見ている。端正な顔立ち。いつみても凛々しい。

 いや、そんなこと考えてる場合じゃなくて。。やばい。やばい。やばい。なんとか誤摩化せ。そもそも、なんでこんなことしちゃってるの?私。。

「もう多恵にちょっかい出さないで。」
「。。。。わかった。」