鈴木くんと彼女の不思議な関係


 文化祭の演目は無事「ロミオとジュリエット」に決定し、クラスメイト達はそれぞれの役割を決めて、動き始めた。鈴木もあきらめてジュリエット役の台詞を覚えている。

 あの後、演劇部の部室へ鈴木を連れて行って、多恵に鈴木がジュリエットを演ることを教えてやった。多恵は目を輝かせて、鈴木の手を取り、必ず観に行くと約束した。これで鈴木は真面目にやらない訳にはいかなくなった。

 期末試験が終われば程なく夏休みだ。1学期末には毎年、球技大会が開催される。各学年入り乱れてのクラス対抗イベントだ。私はソフトボールに出場し、あっという間に負けてしまった。今年のクラスはどうも女子に運動神経の良い子が少ない。1試合でヒットが私の打った1本だけという悲惨な試合だった。

 男子はバスケットボールのチームに、鈴木を始め運動神経の良い生徒が集まっていた。
 一緒に負けたクラスメイトの女子達と連れ立って体育館へ応援へ行くと、既にゲームは始まっていた。

 対戦相手の2年生は、見た所、普通のチームだったが、既に戦意を喪失し、顔が下を向いて、動きが悪くなってきている。早くも一方的なゲームになりつつあるのが分かった。

鈴木がゴールを決めると、ゴール下にいた女子の集団から黄色い声援が上がる。あれでは、対戦相手が気の毒だ。応援にもマナーと言うか配慮というものがあるだろうに。。