私達の引退公演は大成功に終わった。観客の反応は今までになく良く、回収されたアンケートの数も反応も、去年までとは桁違いだった。
今回初めて自作の脚本を使った事で、部員のひとりひとりがそれぞれの役割をこなすのではなく、全員で新しい舞台を作り上げるのだという意識で動くようになったからだ。
入部希望の見学者は去年の数倍に達していて、対応に忙しいと言う。
今回の公演で、1年生ながら脚本・演出に抜擢された神井の負担はきっと想像以上だっただろう。だが彼は粘り強く私達と話し合い、時には自ら折れ、弱音を吐いたり、キレて喚いたりしながら、その度に立ち上がり、とうとう最後までやり遂げてしまった。
神井もまた力強い翼を持つ男だ。同じ学年でなかったのは、本当に残念だが、最後の公演で彼と一緒にやれたことは、私の経験になるに違いない。
その神井が、活動の終わった部室で多恵と2人で話をしていたことがある。脚本演出と次期舞台監督。不自然ではないが、当然でもない。


