「せっ……」



「ごめん。少し、抱きしめさせて」




ぎゅっと抱き寄せられて、苦しくなる。


この苦しいのって。

抱きしめられているから?



それとも先輩のこと、分かっちゃったから?



「かすみちゃん…情けないけど俺に教えてよ。

恋愛ってヤツを…」




目を閉じれば、君が浮かぶ。

優しい声で。



大好きな腕を広げて、君はいつも待っていた。



だけど―――。



「あたし……しゅうがほっとけないんです…」




しゅうはあの日、変わり果ててしまったんだ―。