引き止めて欲しかったわけじゃない。 ただ。 家に帰りたくなかっただけで。 このままだと、あたしと先輩。 もう会えないのかも知れない。 「せ、先輩っ」 家まであと少し。 先輩はあたしの前を歩いていた。 「待ってください……」 遠くなりかけた背中は、ぴたりと止まってくれた。 「…っ、本当にごめんなさい…」 声が小さくなっていく。 「あたし…無神経なことしました」 ぎゅっと下唇を噛み締める。 「だから…これで最後なら、先輩の気持ち教えてください」