きゅっと服の裾を握り締める。
「先輩はどうしたら…、心の底から笑ってくれるんですか。
あたしは嘘の笑顔見たくないです…」
声が震えてしまう。
それよりも。
こんなこと言って困らせないかな。
それ以上に、心の中で考えていることは―…。
先輩がこの台詞を他の子にも言っていること。
そして、その台詞さえ言えば、皆落ちていくこと。
あたしはそうじゃない。
先輩の言葉だけで落ちやしない。
先輩が小さくため息をついて、あたしの後ろの壁に手をおく。
「ねぇ、かすみちゃん…、彼氏を置いてさ。
もう俺の事、好きになっちゃったの?」