視線を地面に落とす。
「かすみちゃん、映画は好き?」
「あんまり見ませんけど…好きっちゃ好きです」
「よかった。もうチケット買ってあるんだ」
「え。もしあたしが断ったらどうするんですか」
「うーん。その時は捨てるよ」
「うわ…お金使い荒いです」
「いいじゃん。かすみちゃんのために買ったものだから、他の人にあげても意味ないんだし」
「もういいです…」
「あ。かすみちゃん、外見て」
「あぁ…ここからの景色綺麗ですよね。町並みが少しのどかになるから」
しゅうと電車に乗ると、一言も話してくれないから。
だから窓の外を見るしかなかった。
毎回見ていれば、もう見飽きてしまうけど―。
別の人と見るとちょっと違う気もする。

