名前を呼ぼうとしたところで、声が詰まる。 ―また。 女の子といるんだ…。 教科書貸すとか、それだけでやきもち妬いちゃうんだよ。 何て言えたらいいのに。 しゅうの横を通り過ぎて、教室に入ると、唯は悲しい瞳で見てきた。 「ねぇ、辛くない?」 「もういいんだって」 「…ごめんね。かすみ」 「何が?」 唯は珍しく謝ってきた。 「うち……、かすみのためを思って、先輩と出会わせたけど。 でもしゅうには届かないみたい」