「そろそろお昼の時間だし、折角だから一緒に回りませんか? お姫様」 ひざまずいて、あたしの手を取る。 「先輩、お姫様ではなく、メイドですよ」 「俺にとっては、ずっとお姫様なんだけど?」 「...先輩は王子様です」 「うん。知ってる」 嬉しそうに頬緩めちゃって。 さっきからずるいですよ。 何であたしばっか、こんなにも――。 先輩の頬にキスをすると、手を引っ張る。 「行きますよ、先輩」 「そうだね、かすみちゃん」 一瞬だけ赤い顔をした先輩は、あたしが見ることはなかった――。