ピアノを少し弾き始めると、不器用な音が響く―。 夢中になって、何度も弾いていると。 「こら。授業中ですよ?」 ビクッとして、そっと振り返る。 「なぁんて、先生じゃないから」 そこには会いたかった先輩がいた。 「せ、先輩……」 どんどん涙が滲んでくる。 「かすみちゃん、俺に隠し事してる? こんなメール送ってくるの変だとは思ったけど」 見せられた文章は、あたしから届いたメール。 『もう先輩とはいたくありません。さよなら』 「俺、傷ついたけど。本当?これ」