唯を見送ると、手に握っていた香水に目をやる。 女磨きねぇ…。 出来るかな。 逃げ腰ダメだった。 「よしっ」 10日間、頑張るしかない。 結婚なんて―あたしは――…。 「お母さん、走ってくるね」 「ご飯置いておくわね」 「うん!」 靴を履き直して、家を飛び出すと、空が真っ暗だった。 「先輩と見た星空に似てるや…」 ぽつりと呟いた声は、空に消えていった気がした――。