「ゆ、唯が…怪我してる……、救急車を早く!!!」





大人たちの素早い行動で、何とか一難は去ったが。

唯の腹部には手術で縫った痕がある。




「冬真...何も悲しむことじゃねぇぜ。

お前が何かしたワケじゃないって、俺は分かるし」



あの後、唯の両親や俺の両親に、説教をくらった。

それで落ち込んでいると、雅は勘違いしたらしい。




「いいんだ……、僕の不注意だから」




彼女の傷跡は一生消えない、と医師から聴いた。


その傷は俺のせいで出来たのだ。

あの時ちゃんと確認していれば、よかったものを。




「僕…いや。俺……弱いな」



初めて俺と呼んだとき、自分に似合わなさ過ぎて、何でか笑えた。