どうして。 そんな人を好きになっちゃったんだろ。 あたしはいつだって、一途な恋に憧れていたのに。 結局はあたしだけが好きなんだ―…。 「ハァ…、何してんだよ…、立てよ」 しゃがみ込んでいたあたしを、誰かが引っ張る。 あ、れ―。 この手のひら。 知ってる――…。 昔からあたしが泣いていたり、立ち止まると、必ず引っ張ってくれる人―。 「しゅうっ……」 「何でいつも1人で泣くんだよ! 俺のところで泣けばいいじゃねぇかっ…」