「ねぇ…唯」 「…」 「黙ったままでいいよ。 聞いてくれたらいいから」 耳を手で塞ぐと、先輩はぴたりと立ち止まった。 先輩は分かりやすいように口を動かし始めた。 「ご」 「め」 「――・・ん」 大嫌いなのに。 うちを裏切った人なのに。 体は何でか違うことをする。 「唯……あの日俺が浮気したのは、ただ妬いて欲しかったんだよ。 唯が他の男子と話すから…」