先輩の腕、隼人よりも逞しい。 なのにその心は小さい。 「馬鹿なこと言わないで下さいよっ! うちはかすみと小さい頃からいるんですよ?! かすみを傷つけたくなんて…」 ふわりと先輩の髪が、うちの頬に触れる。 一瞬時間が止まった気がした―。 「…かすみちゃんには悪いと思ってる。 でも俺がこうやってキスするのは、唯だけなんだよ?」 そっと離れた唇は、切なさだけを残した。 「先輩なんて……大嫌いです」 キッと睨んでも先輩は、悲しげな瞳をするだけだった。