「しゅ、」 呼び止める前に、しゅうは走って帰っていった。 小さくため息を零して、そっと胸に手を当てる。 そこには先輩から貰った、あの桜のネックレスがある。 大丈夫。 先輩はあたしを好きって言ってくれた。 抱きしめてくれた。 あたしだけが先輩の嘘を見破いた。 特別な存在だと、あたしは信じてる。 ネックレスをぎゅっと握り締めて、家に帰る。 ケータイを確認しても、その日先輩からメールは来なかった。