あたしは自分で涙を拭うと、 しゅうに深くお辞儀をして、その場から走った。 「…かすみ。 俺は中学校の時から、ずっと好きで。 俺はかすみさえいればよかった……。 一生懸命で。 泣き虫で。 馬鹿で。 人思いで。 そんなヤツだから、俺は浮気して気をひかせたかったのかもな…」 しゅうが泣いていたけれど。 あたしは振り返らなかった。 今なら戻れるかも知れないけど。 あたしは――。