「へぇ、やっぱ面白そう」 不意に視界が、先輩のほうに向けられる。 「手、離してくれません?」 先輩の手が、あたしの頬を掴んでいる。 「うーん。離すのもいいんだけどさ。 やっと見てくれたね」 ふわっと微笑んで、あたしを見つめてきた。 先輩の手を軽く払うと、また机に視線を落とす。 「先輩が傍に来ると、女子に妬まれるんで」 「あー。なるほどね。でも俺はかすみちゃんの傍にいたいんだ」 「誤解される言い方はやめて下さい」 何で、この先輩。 こんなに構ってくるの。