―しゅうStory* 「……しゅう」 かすみのいなくなった部屋で、俺は母さんが来たのを確認する。 「何だよ…」 「嘘、ついていていいの? お母さん大変だったのよ。普通に演じるの。 今すぐにでも言いたかったわ」 「……言うなよ。ぜってぇ」 「それがしゅうの答え?」 俺は一瞬だけ、動きを止めた。 でもすぐに笑顔を見せる。 「あぁ。これでいいんだ。中学校のあの日、俺は嘘つきになったんだから」 誰にも言えない、俺と家族だけの秘密。 それは死んでもかすみには言えないことだ。