「……弱いね。
 あたし……泣いちゃう……かも」


「莫迦。
 弱くなんかねぇ。
 由香里は、強すぎだよ!
 もっと頼れよ、誰かを!
 ……誰もいなけりゃオレが。
 オレが面倒見てやるから……!」


 思わず叫んだオレに。


 由香里は一瞬目を丸くすると……笑った。


 嬉しそうに。



 天使のように。



「……ありがとう。
 ……雪」



 このときはじめて、心から。



 ……抱きしめたい、と思った。




 あふれる涙が、こぼれないように。




 夜空を見上げる由香里を。



 強く抱きしめたら、きっと。



 本当に砕けてしまう由香里に……






 オレはこのときから。








 ……恋に、落ちた。