危険な愛を抱きしめて

 


 由香里は、オレに。

 触れられるのがイヤなのか?

 偶然、当たった手でさえも?

 それは。

 ずっと幼なじみをして来たオレにとって、すごくショックなことだった。

 それは、一体、いつから……?

 オレは、由香里に何かしたか?


「……イヤだったら、こんな夜中に、茶に呼ぶなよなぁ……」

 思わず。

 口の中でつぶやいた、オレの言葉を。

 耳ざとく聞きつけて、由香里は違うの……ごめんね、と困ったように微笑んだ。

「雪のこと、好きよ?
 手を引っ込めちゃったのは……その。
 ちょっと、驚いちゃっただけ」

「本当か?」

「ほんと、ほんと。
 ウソじゃないわ。
 雪が嫌いだったら、こんなおいしいケーキ一人じめして、食べてるもの」

「うーん」

 ケーキのひとりじめ、か。

 由香里のわかったような、わからないような言葉に。

 もう一度、こっそりアタマを抱えるオレを、知ってか知らずか。

 由香里は、口の周りのクリームをごしごし拭いて。

 極上な笑顔でいいやがった。

「雪のことは、風ノ塚さんの次に、好き」