「……え?」
本当に嬉しそうな由香里の言葉に、オレは、耳を疑った。
……アタシガ
イマ
イチバン
スキナヒト……?
「え? ああ。
なんだ、薫も一緒に仲良くバイトか?
もともと器用なヤツだと思っていたけど、これを焼くなんざ天才的だな。
医者を止めて、パティシエになりゃいいのに」
真面目に言うオレのセリフに、由香里は声を立てて笑った。
「莫迦ね。
まさか、違うわよ。
風ノ塚 隼人(かぜのつか はやと)さんっていう、ちゃんとしたパティシエよ?
知らない?
最近フランスの留学先から帰って来た、有名なヒトで、ね」
そこまで言った由香里の瞳が。
月明かりを受けて、星のように、きらきらと輝いた。
「とぉっっても、カッコいいのよ!」



