今まで、由香里と一緒に笑って。

 そして、泣いた。

 そう言えば、オレの作ったケーキの味の感想も、結局聞けなかったな……と。

 些細なことを思い出して、胸がはり裂けそうになった。

 ねぇ、由香里。

 もし、最後に。

 オレの、わがままを許してくれるなら。

 どうか。

「……オレの名前を呼んで?」

 そう、つぶやいても。

 由香里はもう、目覚めなかった。

 何も言葉もなく。

 たった一つ、残された体温さえも、失われてゆく。




「由香里……!」






 愛してる。



 愛してる。



 ココロから。



 オレの全てを賭けても惜しくないほどに。





 ……愛してた。




 最後の言葉も無く。

 静かに、去ってゆく由香里に。

 オレのココロは、通じたのだろうか?




 イノチの終わりを告げる、モニターの警告音が、鳴りひびく中で。


 由香里は、わずかにそっと。

 でも。

 確かにその唇を動かした。



『……ゆき……』




 あいしてる