危険な愛を抱きしめて

「今の、由香里は……?」

 薫の言い方に、引っかかりを感じて、オレは聞いた。

「じゃあ、もしかして由香里は。
 今まで、意識を保ったまま、こんな治療を受けたことがある……?」

 由香里の叔父も。

 新しく、由香里の担当になった医者も、同じようなことを言っていたのを思い出した。

 由香里に施せる治療は、真の治療ではなく。

 延命作業に近いもの、だって言う話を。

「薫……!」

 黙ってしまった、薫にを問い詰めれば。

 薫は、深々とため息をついた。

「今の処置は。
 ……本当にイノチの瀬戸際に立った処置だから、かなりの無茶もする。
 でも、イノチの危機でなければ、もう少し『は』マシだよ。
 ……楽では、なかったけどな」

「……オレは、何にも知らなくて」

「当然だ。
 由香里は、お前に余計な心配をかけまいと、本当に必死だったからな」

「……」

 オレは。

 由香里と出来るだけ、長く一緒に生きていたかった。

 元気そうに見えれば、ただ、嬉しかった。

 けれども。

 それには、オレの知らないところで。

 由香里の苦痛の上に乗った、幸せだった。