危険な愛を抱きしめて

 その音に、病室にいた全員の緊感が一気に高まった。

 由香里の心臓に直接注射をしていた男が、眉間に皺を深々と寄せると、宣言した。

「カウンター・ショック、行きます!
 全員、離れて!」

 何をしようとしているか、なんざ、判らなかった。

 ただ、男の言葉に。

 由香里に張り付いていた、四、五人全てが。

 全員、由香里から離れると、両手を顔の高さまで上げた。

 それが、合図だった。

 男は、コンピューターのマウスの二倍ほどの大きさの機械を、二つ。

 由香里の胸に押し当てた。

 スイッチを、入れた。


 どぱんっ、という。


 何とも言えねぇ音がして。

 高圧の電流に打たれた、由香里の。

 細い、ボロボロなカラダが、とび跳ねた。

「由香里……!」

 あまりに、辛い処置だった。

 オレが、代わってやりたかった。

 血を吐くかと思うほど。

 声を限りに由香里の名を呼んで、彼女に近づこうとしたオレを。

 薫が羽交い絞めにして、病室から引きずり出した。