危険な愛を抱きしめて

「……静かにしろ。
 延命処置の真っ最中だ。
 治療の邪魔をするんじゃない!」

 延命処置だって!

 治療だって!

 薫の言っていることが、判らなかった。

「ん、だよこれは!
 あんな女が由香里に乗ったら、胸の骨が折れるじゃないか!
 それに、あんなチューブは由香里の口には入らねぇし!
 喉が詰まるだろ!」

 薫の手をずらして、小声で叫べば。

 薫も、小声で怒鳴り返した。

「胸の骨なんて、砕けてもいいんだ。
 もう一度、心臓が自分で動いてくれれば!
 あのチューブは、気道を確保するためのモノだから、喉はつまらない。
 呼吸を助けるために、どうしても必要だから。
 入らなかったら、歯を折ってだって口に、入れるんだ……!」

「……なんだって!」

「生きるためには。
 生かすためには!
 その他のコトなんて、なりふり構ってなんかいられるか!
 由香里を延命させるには!
 イノチを一秒でも長く伸ばすには!
 これしか、方法がないんだ!!」

「……!」


 そして、とうとう。

 声一つ出ねぇ、オレを嘲笑うかのように。

 モニターが、ひときわ高い警報音をたてた。