高価な、薫の薬を買い続ければ。

 手持ちの金が、尽きるのも時間の問題だった。

 悔しいことに、親父の言った通り。

 ケーキ屋のバイトなんかでは。

 由香里を、支える金を作ることさえ。




 ……できなかった。

 パティシエとして、一人前になって。

 風ノ塚のように稼げるまでには。

 当然、まだまだ、長い時間が必要だったし。

 例え、一人前になったとしても。

 望むだけの金を、手に入れることが出来るのかさえ、疑問だった。

 何よりも。

 オレには『今』金が必要だった。

 そして。

 村崎からの援助が、当てにならないとなると。

 他に『手段』は、限られた。