「ああっ!
 まさか、とは思っていたけど、やっぱり、覚えてない!?
 毎年……とはいかなかったけど、小さなころから、何かしらあげてたじゃないの!
 覚えてないなら、良いもんね!
 今度から、絶対。
 雪へのプレゼントは、アクセサリーばっかりにするから!」

「……げ」

「ずっと、贈って、お爺ちゃんになるころには。
 大好きな光モノで雪を、全部埋めちゃうもんねっ!」

 本当は、オレが派手な光りモノが苦手なことを由香里は、十分に承知だ。

 わざと、頬を膨らます由香里に。

 オレは、笑ってクビを引っ込めた。

「オレが、悪かった。
 今度から、貰ったモノはあめ玉一つに至るまで、ちゃんと覚えておくから。
 それは、勘弁してくれ」

「そんなに、細かくなくて、よろしい」

 言って、けらけらと、楽しそうに由香里が笑う。




 ……そう。

 由香里の前では、これからずっと、笑っていようと思った。

 彼女の不安が、なるべく、なくなるように。

 オレ自身が、後ろを振り返らないように。

 由香里が本当に好きな。

 オレが、こっそり尊敬している。

 風ノ塚のように。

 穏やかに、ずっと、ずっと笑っていようと、思った。






 由香里の前では、絶対。


 ……泣かない。