「あれ? 雪……?
 その雫の形のペンダント。
 また、つけてくれてるの?」

 両手にたくさんの花を抱えて、由香里の見舞いに行けば。

 点滴に繋がれた由香里が、複雑な顔をして、首を傾げた。

「……もしかして。
 また心臓の薬を、持ち歩かなくちゃいけなくなったとか……」

「中に、心臓の薬なんて、入ってねぇぜ」

 そう。

 入っているのは、別な、薬。

 オレの命を救うモノではなく。

 由香里自身の命を繋ぎ止めるために。

 ……薫から買う薬。

 でも、それを悟られないように。

 オレは、あっさりと言った。

「このペンダントは。
 はじめて由香里に貰った、プレゼントだし。
 気に入ったから、つけているだけだ」

「ええっ! 本当に?
 気に入って、つけてくれてるの!?」

「……なんだよ。
 そんなに、驚くことは、無いだろう?
 自分で選んだクセに」

 オレの言葉に、由香里が楽しそうに言った。

「気に入ってくれたなら、スッゴく嬉しいわ。
 だけど……。
 雪へのプレゼントは、これがはじめて、なんかじゃないわよ?」

「……そうだっけ?」

 クビを傾げたオレに、由香里は、笑う。