オレは、直接。

 親父の入院している病院へ車を乗り付けた。

 カラダを気遣う町谷から勧められた車いすを断って、それでも。

 出来る限り早く病室に向かう。

 ……親父は、病院の最上階にあるVIP専用の個室にいた。

 親父が襲われてから、大体一日は経っているはずなのに、まだ騒ぎはおさまらねぇようだ。

 廊下は行きかう警察と、ウチの黒服組が大勢詰めている。

 物々しい雰囲気の廊下を町谷の肩を借りて、抜け。

 その守られた病室の扉を開いた。

 そして、中の様子を見て……あまりの光景にオレは、声をあげた。




「親父……!」




 かすれた声を振りしぼり、出来うる限りの大声で叫べば。

 口に酸素マスクをした、六十過ぎの男が、オレに向かって笑った。

 その、両腕に。

 オレとあまり年の変わらねぇ、見知らぬ女を二人も抱えて。

「よ、放蕩(ほうとう)息子。
 やけに遅い登場じゃないか?
 父さんは、待ちくたびれちまったぜ?」

 その、のん気な口振りに。

 オレの中で、何かが、ぷちっとキレた。