危険な愛を抱きしめて

 そんなにカタれるほど、SEXの経験が、あるわけではないが。

 本来SEXは、相手に愛を伝える行為ではなかったか?

 大好きな女が別にいるのに。

 愛どころか、特別な好意さえもない、同性の男同士で。

 互いを思いやることもないまま。

 めちゃくちゃに、何が何でも、むさぼり合うモノでは無かったはずだった。

 だけども、それが………

 ……キモチイイと感じてしまうなんて……!

 自己嫌悪で、吐きそうなほど。

 ココロとカラダの折り合いがつかないまま。

 いつの間にか。

 オレは、熱いシャワーの湯に打たれながら、鏡を何度となく……

 ……殴りつけていた。

 見かねたショコラが、止めに入るまで。

「……ちょっと!
 そんなことしてたら、ガラスが割れて、ケガをするわよ!」

「……」

 声に、のろのろと振り返れば。

 心配そうな顔したショコラがいた。

 それで、鏡を殴り続けることは、やめられても。

 シャワーの雨の中から、出られずに。

 ただ呆然と立ち尽くすオレに。

 ショコラは、深々とため息をついて、腕まくりをした。