危険な愛を抱きしめて

 


 浴室の鏡に背を向けて。

 アタマから、熱い湯にずっと当たっていた。

 泣いている。

 ……なんて、認めたくなかった。

 だけども。

 さんざんに乱れるココロを抱え。

 目から、あとから、あとから溢れるモノに困り果て。

 大丈夫だと自信がつくまで、どうしても外には、出られなかった。

 しみじみ、とは絶対に見たくは無かったが。

 ちらりと振り返った時に、鏡に写った自分のカラダを見て……

 その刻まれた、嵐のような、キス・マークの多さに、改めて。

 手が白くなるほど握りしめた。







 ……本当に、腹が立つのは。

 カラダを写す鏡を、粉々に壊したいほどに、恥ずかしいのは。

 薫に無理やりつけられた印、ではなかった。

 この中のいくつかは、確実に。

 オレが自分から、薫に……

 ……つけて欲しい、と。

 乞い、ねだったモノもある、という事実で……

 それは。

 いくら、薬で快楽に狂ってたから、とはいえ。

 到底、受け入れられることではなかった。