危険な愛を抱きしめて

 

「賢司!?」


「何よ、うるさいわね!
 きみに、そんな名前を呼び捨てにされる覚えは、ないわ!
 私のことは、ショコラちゃんって、呼んでって言ったでしょ!」

 部屋の明かりの中では、少しとうは、たっているものの。

 それでも、可愛い女に見えるヤツが。

 オレを玄関に座らせて、着替えを探しながら、ぷう、と頬をふくらませた。

「……ショコラ……ちゃん……」

「……ナニよ、そのイヤそうな顔は?」

「……だって、なぁ……」

 確かに『賢司』よりは、『ショコラ』の方が、こいつには似合うけども。

 真面目に呼ぶには、ものすごく気恥ずかしい名前だ。

 しかも……

「……あんた……
 女? 男?」

 見れば見るほど、良く判らなくなることを。

 クビを傾げて、聞けば。

 ヤツは、オレの目の前に。

 大きなバスタオルをどさっと置いて、腰に手を当てた。

「……失礼なことを、聞かないでよね?
 きみは、私のことを、どう見えるの?」

「……男」

「え?
 ウソ! 本当に?」

 オレに言われて、動揺する姿が、やっぱり、すごく可愛い。

 オレは、口元を、少しほころばせて、言った。