危険な愛を抱きしめて

 寒さで凍ったカラダは、バランスをくずして、道端に倒れこむ。

「ちょっと、きみ!
 やっぱり、もう動けなくなってるんじゃないの?
 大丈夫?」

「……う」

 動けるさ、と続いて紡ぐはずだった言葉は。

 自由にならないカラダの前に、意味のねぇつぶやきになって、消えた。

 女は。

 雪の中で、もがいているオレに、高く舌打ちすると。

 今まで、開いていた傘を閉じて……

 ……オレを抱きあげやがった!

「な……!」

 あり得ない出来事に驚いて、言葉に詰まる。

 何しろ、オレは。

 細身、とは言われてはいても。

 五十キロは、軽く超しているんだ。

 女が普通に持てる重さじゃねぇ。

 なのに、女は「また、筋肉がついちゃうわ」とか。

 どうでもいいことをつぶやきながらオレを軽々持ち上げやがった。

 しかも。

 このころになって、ようやく。

 女の連れらしい集団が五、六人ほど、どやどやとやってきて、口々に声をかけた。