危険な愛を抱きしめて

 

 部屋の外に降りしきる雪よりも。

 さらに冷たい、身を切るような寒さが全身に押し寄せてきた。

 全身が、ぶるるっと震え。

 歯が、温度を求めて、カチカチと鳴った。

「さ……む……」

「寒いか? 音雪」

「う……」

 あまりの寒さに、震えながら、何度も頭を下げた。

 オレが急激な体感温度の差についてゆけず。

 もう何も抵抗できないことを見て、ようやく。

 薫は、つかんでいた両手首を離した。

「……あ……」

 冷え切った自分の両手を、少しでも温めようと。

 腕を、胸に抱きしめ、子供のようにカラダを丸めたのに。

 体温は、逃げていくばかりで、ちっとも暖かくなりはしない。

 酷い絶望感と、寒さに。

 ただ、ただ震えるオレの耳元で、薫がささやいた。

「……暖かくなる薬を売ってやろうか?」

「……え?」
 
「カラダがぽかぽかと暖かくなって。
 ついでに気持ち良くなる薬。
 あんまり、合法的とは言えねえが。
 金の余ってる音雪には、特別価格で売ってやる。
 一つ、欲しくないか?」

「……合法的じゃねぇ?
 ……らねぇよ……!
 そんな怪しいヤツ、なんざ……!」