危険な愛を抱きしめて

「何が違うんだ?
 それに、てめぇは!
 由香里に、大金を出すとか、叔父に言ったって?
 それは、婚約者とまとまるために、由香里を捨てる金……!
 手切れ金、とか言うんじゃないのか!?」

「違う!
 そんなつもりで言ったんじゃねぇ!」

「じゃあ、なぜ!
 そんな金を、由香里に出すって言いやがったんだ!」

「それは……!」

 それは、もちろん。

 由香里の治療費に当てて欲しかったから。

 由香里が、一分一秒でも長く生きるために、オレが出来ることは。

 資金援助ぐらいしか、思いつかなかったから。

 だけども。

 それを、素直に話して。

 薫が……。

 薫までもが、由香里の叔父みたいに。

 金を拒否して、由香里をあきらめるようなコトを言ったら……!

 という、ずっとつきまとっている不安に。

 ……とても、ちゃんとした話なんざ、できなかった。

「……語るに落ちて、黙ったか?
 音雪」

「………」

「そんなに、金が余っているのなら……
 使い方を、俺が教えてやろうか?」

 そう言って薫は、昏(くら)く微笑んだ。

「……そろそろ、時間だ……」