危険な愛を抱きしめて

 

「あれっ?
 雪と兄貴が一緒に来るなんて、めずらしいねぇ」




 由香里は病室のベッドの上からオレ達に向かって手を振った。

 彼女は。

 オレが初めて抱いたあの日から。

 また、少しずっ悪くなっていた。

 まるで、咲き誇る花がしおれてゆくように。

 せっかく希望の大学に入れたのに。

 ……通えなくなるのも、たぶん、時間の問題かもしれない。

 なのに。

 そんな不安なんて、はじめからないみたいに、由香里は元気に笑っていた。

 本人が、そんな感じなのに。

 見舞いに来たこっちが、暗い顔をしてるわけにはいかねぇ。

 オレも、由香里が好きだって言ってた風ノ塚のにやにや……

 ……いや、にこにこ笑いに負けないように。

 なるべく優しい顔を作って、由香里に笑いかけた。

「由香里だって、いつもはずっと本を読んでるか、なんか書いてるくせに。
 手に持っているモノが違うじゃねぇか?
 今日は、勉強サボってナニやってんだよ」