危険な愛を抱きしめて

「お勉強~~」

「由香里は、希望の大学に入れたんだろう?
 だったら、もう受験勉強とか、関係ねぇはずだろう?」

 オレの言葉に。

 由香里は、ぷう、と頬を膨らませた。

「大学は、入るまでに勉強をしなくちゃいけないけれど。
 入ってから、勉強しなくちゃ意味ないじゃない!」

 ……それは、当然だと思うが……

 由香里の家から、このケーキ屋には、電車に乗らなくても来られるほど近い。

 とはいえ。

 勉強を本気でするなら、家でおとなしくやっていればいいのに。

 わざわざ、こんな手間をかけてやって来る理由は、やっぱり……

 ……風ノ塚のそばにいたいからなんだろう。

 由香里は、オレが前に厨房に入る前に座っていた席に座ると、にこっと笑って言った。

「店員さん。
 紅茶と、今日のおススメケーキください」

「はいよ」

 やっぱり、オレは『店員』扱いだ。

 人知れず、こっそり落ち込んで、オーダーを奥に、持って行こうとしたら。

 風ノ塚が、由香里に気がついた。