危険な愛を抱きしめて

 思わず言った、オレの言葉に。

 由香里は、ぷう、と頬を膨らませて、言った。

「文系を目指そうとする人間を、莫迦にしないでよね!
 それに、あたし!
 大学を出て、やりたいコトがあるんだから!」

「へえ、初耳だな。
 ……ん、じゃあ、由香里は、将来、何やるんだよ?」

 オレが聞くと。

 由香里は、ますます困ったような顔をして、つぶやいた。

「……ガッコの先生」

「……は?」

「何よ! 雪!
 そんな顔をするコトないでしょ!
 なんで、あたしが、先生になっちゃいけないのよ!」

「いや。
 悪かねぇケド。
 体育教師をやりたきゃ、やっぱり文学部は、やめておいた方がいいぜ?」

「誰が、体育教師よ!
 あたしが、やりたいのは、社会の……!
 できれば、日本史を教える先生で……!」

「げっ!
 日本史ぃ~~!
 オレ、ガッコの勉強って、だいたい何でも出来っけど。
 日本史でも、世界史でも、年号みてぇに。
 意味ねぇ数字をちまちま覚えるなんざ、一番キライだ」

「雪はキライでも、あたしは好きなの!」

 由香里は、腰に手を当ててべえ、と舌を突き出した。