すぱこーーーん 実に歯切れのいい音がして、大の男が、一人。 軽々と空に舞った。 「……まだ、あたし達にご用かしら?」 そこには、ただ。 妖精のように細く、儚げな16才の少女が立っているだけなのに。 残った、いかにもヤクザな男達が四、五人。 全員一歩後ろに下がった。 皆。 引きつった顔をして。 由香里のその、外見からかけ離れた蹴りの見事さに、全員圧倒されていたんだ。 由香里の正体を知っているはずのオレでさえ、思わず口の中で唸り。 騒ぎの元のアヤネも、呆然と拍手をした。