「やあ~~
 村崎君じゃないですか。
 お帰りなさい~~
 日本には、いつ帰って来たんですか~~?」




 それから、約一年後。



 久しぶりにケーキ屋の厨房に顔を出すと。

 風ノ塚は、上機嫌で、オレを迎え入れてくれた。

 相変わらず、細い目を更に細くして、ヒトの顔をみるなり、にこにこと笑う。

 そんな、いかにも脳天気~~なコイツの顔をみてると。

 風ノ塚と勝負しよう、なんて気が一気に失せた。

 米国にいる時は、ずっと。

 どうやって勝つかばっかり考えていたはずなのに、まったく!

 そう、こっそり悪態をつくオレのココロを知ってるのか、どうか。

 風ノ塚は、心配そうにクビをかしげて聞いてきた。

「それで、村崎君~~
 身体の調子は、ど~~なんですか?」

「ああ。
 前よりは、だいぶいいぜ。
 定期的に由香里んちの病院には行くから、完璧とは言えないけど。
 フツーのことをフツーにしている分には問題ねぇんだ」