風ノ塚の声と一緒に。

 由香里の姿も、ちらついて来やがった。

 アイツはオレを……

 こんな、ガキのオレを……

 いつかは、好きになってくれるんだろうか?

 オレの方は。

 どうしょうもないほど。

 多分、死の縁だったかもしれねぇあの場所から。

 思わず、帰って来てしまうほど、好きなのに………







 強い、男になりたかった。

 早くオトナになりたかった。

 だけども。

 オレは、本当に、ただのガキでしかなく……





「せめて、風ノ塚には勝てなくちゃ、意味はねぇ……」


 思わずつぶやく『それ』が。

 本当は、一番難しいことも知っていた。





 ……くそ……!


 苛立つココロのままに。

 投げた枕は、ベッド柵(さく)に当たって戻って来やがった。





 出口の無い、苛立ちは。


 ……当分、癒されそうになんざ、ない。