「ええ。
 今回は、大きな手術でごさいましたから。
 ……ご家族様の付き添いが、必要でしたので……」

「外に……親父か……兄貴が……待っているのか……?」

 どちらも、超忙しい奴らだけど。

 さすがに、今回ばかりは、オレのために、時間を裂いてくれたのか?

 だけども、町谷は。

 ますます困った顔をした。

「はぁ、どうも、その」

「イヤに……歯切れが悪いじゃ……ねぇか」

 オレに言われて、町谷は。

 自分のこめかみあたりを、ぽりぽり掻きながら言った。

「……その。
 喜代美様が、お付き添いで」



 ……なに!?



 なんだって!?




 町谷の返事に、オレは耳を疑った。

 よりにも、よって。

 死んだ母さんの、後がま狙いで村崎家にやって来た。

 親父の愛人が。

 オレの家族として、手術に付き添いやがってたなんて!