危険な愛を抱きしめて

 

 どんっ。



 鈍い衝撃を脇腹に受けて、次の瞬間。

 灼熱の痛みに、全身が震えた。

「な……に……」

 何が起きたのか、腹を見れば、一目了然だった。

 けれども。

 一瞬、理解できなかった。

 オレの脇腹にナイフの太い柄が、生えていた、なんて。

 相当長いであろう刃の部分を全て、オレのカラダに埋め込んで。

 五人目の。

 オレにビビって動けなくなったやつが、隠し持っていたナイフを投げた。

 それが……命中してしまったんだ。

 この期に及んで。

 薫が警告していた事をようやく思い出した。

 こんな男たちは、ケンカに素手で来るとは限らないから注意しろ、と。

 たしか、前に言ってなかったか。

「あ……う……」

 血は、ほとんど出なかった。

 そのかわり。

 ひどい痛みで思わず、うめき声が漏れる。

 ひざが崩れた。

 そして。

 この衝撃で、一番ダメージを受けたのは。




  ……心臓だった。




 久しぶりの運動で、疲れたオレの心臓が。






 悲鳴を上げた。

 


 いや。

 あまりの痛みと、苦しみに。

 声なき悲鳴を上げていたのは、オレ自身かもしれなかった。